「嫌われ松子の一生」
先に映画を観ていたせいもあり、映画の場面をなぞるような読み方になった。なので、小説そのもののイメージ喚起力がどれほどのなかわからない。が、面白く読めたことは確かである。
愛を求め続けながらも現実に裏切られ続けた悲惨な一生が描かれているのだが、筆致は自己憐憫に陥ることは決してなく、むしろコミカルなタッチといえ、その分、松子の一生が客観視できる。
気になったのは松子の一人称という叙述スタイル。松子の語りが誰に向けたものなのか不明(過去を想起して一人語る、という設定でもない)で、三人称の語りにして客観性を徹底したらよかったのでは、と思った。
修学旅行での事件の成り行きなど、普通あり得ない成り行きとなるが、これは一種のファンタジーなのだと思う。だからそんなことは気にする必要などないと思い直す。作者に表現したいものが明確な形で存在することが伝わってくる作品であるのは間違いない。
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